【P90】
 突然、目をさまして後方を見ると、丸い大きな物体が浮かんで見える。
「あっ、敵潜水艦だ」
 力をあわせて、イカダをけんめいにこいだ。しばらくするとなにも見えない。(中略)また気がつくと、おなじ物体がおなじ距離に浮かんで見える。数回おなじことをくり返すうち、夜が白々と明けてきた。
 いったい、あの物体は何だったのだろう、うす気味がわるいことこのうえない。だんだん明るくなるが、海上にはなにも見えない。気のせいだろうか、いや、なにかあったはずだ、ひょつとしたら伝説に聞いた海坊主だろうか。


【P92】
五〇三空搭乗員